1球がもたらすものコンテスト2022 総評

最新改定 2022.May.16 1球がもたらすものコンテスト事務局
 多数回の参加経験がおありの御二人の方に参加者作成の成果物資料をもとに総評をお願いしました。

< 重原 大蔵(JA2VWM)評 >

■ 作品番号 T01
・ 6BD11コンパクトロン真空管使用による1-V-1で、高周波増幅段に高Gmの5極管、検波、低周波段に3極管の使い分けは再生式として最適です。
・プラグインコイルによるマルチバンド化はアンテナ、検波コイルともにトラッキングがとり難くアンテナトリマ−バリコンを使われた理由と思われます。トリマーバリコン挿入箇所はコイル端子の3-4端子接続の直列共振となっている。この方式は自分も興味があります。
・再生式でSSB受信の場合、強力信号で検波音質が著しく悪化します其の為にRFゲインを絞ることは必要になります。Esgを可変することで併せて音量の調整を兼ねる得策ですね。
・電源インピーダンスはかなり低く抑えてるのは再生動作を安定化する為とも伺えます。
・RF段、再生検波段をサブ基板に組み込む事で上下二段となり独立した構造と成って今後のモディファイがし易いとおもいます。
・本体シャーシーと前面パネルを支える三角補強が上下にあるため強固である。また、パネルの縦横比率、ノブ、指示計など配置のバラ ンスがとても心地良く感じます。

■ 作品番号 T04
・各セクションでの技術的検討をされ、データーを元に細かな理論的検討をされてる事がヒストリーで伺うことが解りました。
・4球ストレートを構成するなかで充分な利得を活用することで最大性能を導いて設計されいることが感じられます。斬新な検波方式には 驚きです。

■ 作品番号 TW1
・UZ-78、79、による1-V-1 BC帯受信機製作を随分楽しみながら製作されてることが伺えました。
・作品説明書で述べられてるとおり両コイルのトラッキングをしっかりとられる事で性能アップが期待できそうです。またRF段での利得調整を自動利得AVCにするのも今後の楽しみと思います。

■ 作品番号 TW2
・製作準備段階での実験で如何にアンテナ系の良し悪しが電波の補足に重要かをフィールドで実感されておられそこで得られたファクターを今回の4球スーパーのアンテナに生かされたことは凄いと思います。
・4球スーパーと併せて非接触複同調回路を兼ねた外付けアンテナと回転装置で指向性選択を製作されたのは凄いです。

■ 作品番号 TW3
・Rfセクションを3極管グリッド接地とした試みは再生式の安定化と再生発振のアイソレーションに効果期待できることと思います。
・受信範囲から3.5メガ7メガのハムバンドの受信を目標とされパネルにはスプレッドダイヤルを設けたのは正解かと思います。
・今後ハムバンド受信をターゲットに選択度の向上、AVCの追加など更なる機能追加のレベルアップが可能かと思われます。感度選択度などのデーターは記されてはいませんがかなりの所までいってるのではと想像しています。

■ 作品番号 S02
・製作準備段階からのヒストリーも併せて拝見していました。セットを構成する各セクションごとにシュミレーションの技術を活用して構築進める技術はとても魅力的かつ憧れとも感じました。また経験に沿った緻密な分析をしながらの構築過程はすばらしいと思いました。


< 石山 保幸(JA3TZZ)評 >

■ 作品番号 T01
1 球アマチュアバンド再生式受信機
6BD11 コンパクトロン(5 極管+3 極管+3 極管)を使用され、バンドスプレッドを完全再現すべく、HRO の4連バリコンを使用 SW-3 のプラグインコイルが使用できる構成とされています。
基本的な理解と経験・体験され Simple is Best を具現化された製作品です。
こだわりの筐体製作は、素晴らしい一言です。

■ 作品番号 T03
電池管 1D8-GT 複合管レフレックス受信機
複合電池管一本を使用した中波帯受信機です。
高周波増幅入出力同調回路は複同調とし二連バリコンを使用され、B電源は、リチュームイオン電池 18650使用DC/DC インバーターで昇圧されています。
シャーシーはアルミ 1.5mmアルミ板を加工されています。
音響導管もシャーシー裏面容積をバックロードとして使用され、回路・筐体構成ともオリジナルの製作品で素晴らしいできばえです。

■ 作品番号 T04
ストレートラジオ
シンプルな構成でどこまで良質な受信が可能か、デバイスの特性を把握する事で動作の理解と最適な設計を目指されています。RF増幅、検波回路の検討に多くの時間を割かれ最適解を検討されたのが伺えます。

■ 作品番号 TW1
2球高一モノバンド受信機
高周波増幅1段を設けた 1-V-1 ラジオに挑戦
高一ラジオは最初の挑戦とのこと、トラッキング調整等に苦心されたのが伺えます。

■ 作品番号 TW2
複同調4球スーパーラジオ
外部に複同調器と回転装置を設置することで、弱い放送波をいかに補強出来るか?に挑戦なさっていること、綺麗な仕上がりの筐体加工が素晴らしいです。
非接触複同調回路は、磁界結合、回転装置を持つ同調回路を設置し指向性選択を図られています。

■ 作品番号 TW3
TW3 1-V-2 短波受信機
中学1年(1964年)初めて購入した『初歩のラジオ6月号』に、梶井先生製作 1−V−2受信機の掲載がありました。当時、通信型受信機はあこがれ、数年後組み立てました。今回のコンテストに参加するにあたり懐かしい本受信機を再度製作致しました。
高周波増幅は、3 極真空管6J6をグリッド接地にして安定化を図っています。
コイルは、プラグイン式ボビンを用い、プレート側コイル。同調コイルと、 再生側コイルは、プラグインコイルの内部に設け自由に結合度設置を変えられる ようにしています。

■ 作品番号 S02
5石7MHzシングルスーパ
小さな回路規模でSSB受信を楽しめるコンパクトな受信機を製作されています。
回路を具現化するため、回路シミュレーション、経験による裏付け、部分試作評価等から製作された力作です。デュアルゲートFET1石によるプロダクト検波を採用されています。

以上です