スミスチャートアプリ QuickSmith へのヘルプ       最新改定 2020.Jan.18 JH3FJA

 QuickSmith ( An Online Smith Chart Based Linear Circuit Simulation Program ) は スミスチャートの基本学習から整合回路の設計までWebブラウザ上で手頃に使える回路シミュレータです。
 R,L,C,X,同軸(伝送遅延),同軸スタブなどの回路要素(コンポーネント)を定型のラダー型に置いて行き回路を描き 逐次にスミスチャートへのプロットをしたり 周波数や構成要素の定数をスイープし軌跡を描くことが出来ます。 スミスチャート上のポインタや軌跡はネットワーク網や回路要素の定数、周波数に変化を与える度に追従表示するので学習利用に特に有効です。 このページでは QuickSmith の機能と操作をHOMEと呼ばれる画面を起点として個々に説明しています。

表示でみた機能群

 大きな区分として赤色破線で囲んだ機能群から成り立っています(図はクリッカブルマップになってます)。

メニューバー スミスチャート表示 計算条件 ラダー回路網 コンポーネント(回路要素)

メニューバー

 メニューバーにある 9区分の各機能は次の通りです(図はクリッカブルマップになってます)。


File

/New Session
 QuickSmith をブラウザで開いた時点の状態にします。 それまで入力した内容は失われます。

/Save Session
 それまで入力した状態をバッファに保存します。 保存データは QuickSmith をブラウザ上で閉じてしまうと消えます。

/Restore Session
 バッファに保存されたデータをロードし入力状態に戻します。

/Load File
 ファイルに保存されたデータをロードし入力状態に戻します。

/Save File
 これまで入力した状態をファイルに保存します。 ファイル名は任意に付けられます。

/Capture Chart
 スミスチャート部のイメージをキャプチャします。


Show

/Marker
 スミスチャート上に1つのポイントマーカを描画できます。
 このダイアログが現れますので Marker Magnitude と Marker Angle を入力し Set ボタンを左クリックするとスミスチャート上の対応座標位置にマーカが表示されます。
Magnitude はスミスチャートの半径が1.0、Angle は左周り増で 1deg から359deg です。

Reset ボタン の左クリックにより スミスチャート上のマーカを消せます。

/Equivalents
 計測端(ラダー網の右端)からみた伝送路の詳細特性を表示します。
 常に最新の計算条件のものが表示されます。

Close ボタン の左クリックにより もとの画面(HOME)に戻ります。


Sweep

/Generate
 Sweepを実行します。 実行条件は Setting メニューで設定した周波数範囲やラダー域に記述したコンポーネントの定数になります。

/Clear
 GenerateによるSweepの結果 スミスチャートに描画されたポイントや軌跡を消します。 実行条件が消えることはありません。


Data

/Export
 作業途中のスミスチャート描画状態をファイルに残します。
ファイル属性は .gam 、デフォルトファイル名は out.gam ですが 任意のファイル名が付けられます。

/Import
 Exportしたファイルを読み込みスミスチャート描画状態を継続します。

/Clear
 作業途中状態を破棄しクリアします。


Admittance Circles

 スミスチャート部に等アドミタンス円を追加描画します。 もう一度 左クリックすると描画が消せます。


Insertion Loss

 周波数対挿入損失、コンポーネント定数対挿入損失のグラフを書かせます。
 
 表示は Setting で設定した起終点周波数やコンポーネント定数変化での周波数スイープ結果です。

Amp.Design

 アンプの入力および出力の整合等を2つのスミスチャートで解析するものですが このページでは説明対象から外しておきます。


FAQ

 よくある質問が列挙されています。


Settings

 定格インピーダンス、定格周波数、周波数スイープ範囲、定数スイープ範囲、速度係数の設定です
 
 Velocity Factor: は 速度係数を設定します。 この速度係数が演算に適用されるコンポーネントは 伝送ライン、オープンスタブ、ショートスタブ の3種類ですのでこれらを含む計算では同軸ケーブル仕様を調べ入力します。

Ch.Impedance[Ohms]: は 正規化インピーダンスを設定します。デフォルトで50オームになっています。

Frequency[MHz]: は回路網の設計定格周波数です。 整合回路の設計であれば整合させたい中心周波数です。

Tr. Design Frequency[MHz]: は伝送ライン、オープンスタブ、クローズスタブに対する設計周波数を違えることができます。 通常は Frequency[MHz]: の設定と一致させておきます。

Sweep Start: 、Sweep Stop: 、Sweep Step: はスミスチャート上に軌跡線を描かす変化の開始・終了・開始終了間での計算ステップ幅です。

Sweep Color: スミスチャート上に描画する軌跡線の色です。

Sweep Variable: スイープする対象を選びます。 周波数かコンポーネントの定数が選べます。

Length Unit: 長さ単位です。インチ(デフォルト)、ミリメータ、波長倍数が選べます。

Termination: 終端と見なすコンポーネントの数です。通常は Single のままとします。



スミスチャート表示域

 スミスチャート表示と それへの補助的な目盛描画の操作です。

 スミスチャートへの等SWR線、等Q値線の描画指示をします。また マウスカーソル位置のインピーダンスを表示します。


 左 SWR のボックスはスミスチャートへの等SWR線の描画指示をします。+ を左クリックすると 1づつSWR値が増加します。 左図はSWR=2、SWR=3 を描いたものです (SWR=1は点なので円は現れません)。

中央の Q のボックスはスミスチャートへの等Q線の描画指示をします。+ を左クリックすると 1づつ Q値が増加します。

右の表示ボックスは現在のマウスカーソル位置に対応したインピーダンスを示します。スミスチャートの目盛は正規化したものなので実際の値を読み取るために利用します。


計算条件

 計算周波数、ラダー回路網の右端から負荷方向を見たインピーダンス、回路網の損失が表示されます。

 計算周波数の表示初期値は Setting で設定した値ですが +−ボタンで増減操作が出来 リアルタイムにスミスチャートプロットに反映されます。 操作した結果の最終値は Setting での設定に自動的に反映(上書き)されます。

ラダー回路網

 アンテナインピーダンスや整合回路等の回路網をここに記述します。
 コンポーネント(回路要素)群から任意のものを選択(ドラッグ)し ラダー回路に置いて行く(ドロップ)ことで回路網が構成されます。
 向かって左端が負荷側(例えばアンテナ)、右端が計測端、コンポーネントを置く「箱」は12個、左端の箱は特別で予めRXコンポーネントが配置してあります。 スミスチャートのプロットや軌跡は右端から眺めたインピーダンス(相当)が表示されます。 梯子型で接続が固定なので 回路要素の並列接続は予め並列接続されたコンポーネントから選択し記述します。
 各コンポーネントの定数はラダー回路に置いて行く際に小さな入力ウインドが現れます。 一度設定した定数の変更は既に置かれたコンポーネント象形を右クリックすると Update Value のボタンが現れますのでこれを右クリックし(値の入った)入力ウインドで変更をします。

コンポーネント(回路要素)

 アンテナや整合回路を記述するためのコンポーネント(回路要素)です(図はクリッカブルマップになってます)。

 ラダー回路網の箱に対しドラッグ&ドロップでこれらから選び置いて行きます。 ラダー網へのドロップによりコンポーネントの定数等の入力を促す入力ボックスが表示されますので必要な定数を入力します。 各々の入力ボックスと そこでの入力項目は以下の通りです。

 なお これらコンポーネントの定数単位は次の通りです。
周波数: MHz抵抗: OHMS
インダクタ: nHキャパシタ: pF

 抵抗です。
K(キロ)やM(メガ)などは使えません。

 インダクタです。
単位はnH(ナノヘンリー)のみです。

 キャパシタです。
単位はpF(ピコファラッド)のみです。

 リアクタンスです。
容量性リアクタンスは −(マイナス)符合を付けます。

 同軸ケーブルによるオープンスタブです。
同軸ケーブルの特性インピーダンス および 長さを入力します。 速度係数は Setting で設定の値が適用されますのでここでは加味する必要はありません。
なお 長さ単位は Setting メニューから m(メータ)や波長(波長基準の倍数)に設定することが出来ます。

 同軸ケーブルによるショートスタブです。
同軸ケーブルの特性インピーダンス および 長さを入力します。 速度係数は Setting で設定の値が適用されますのでここでは加味する必要はありません。
なお 長さ単位は Setting メニューから m(メータ)や波長(波長基準の倍数)に設定することが出来ます。

 極座標表現した反射係数で設定ができる終端負荷です。
このコンポーネントはラダー網左端 W1位置にしか置けません。

 抵抗成分とリアクタンス成分の直列からなる終端負荷です。アンテナで言えばアンテナ自身の特性インピーダンスです。
既に固定でラダー域の左端のボックスに居ますので それを右クリックし 抵抗成分とリアクタンス成分の値(容量性の場合 マイナス符合を付け)を入力します。
このコンポーネントはラダー網左端 W1位置にしか置けません。

 ジャンパワイヤです。
既にコンポーネントが設定されているラダー網の「箱」にドラッグ&ドロップするとコンポーネントの削除(ワイヤで上書き)が出来ます。
ラダー網の「縦の箱」はジャンパワイヤを描画することは出来ません。

 伝送ラインです。
ラインの特性インピーダンス および 長さを入力します。 速度係数は Setting で設定の値が適用されますのでここでは加味する必要はありません。
なお 長さ単位は Setting メニューから m(メータ)や波長(波長基準の倍数)に設定することが出来ます。

 LCの直列を1コンポーネントにしたものです。 ラダー網でのコンポーネントの並列接続は これらを使い表現します。
Lの値とCの値を入力します。

 LCの並列です。 ラダー網でのコンポーネントの並列接続は これらを使い表現します。
Lの値とCの値を入力します。

 RCの直列を1コンポーネントにしたものです。 ラダー網でのコンポーネントの並列接続は これらを使い表現します。
Rの値とCの値を入力します。

 RCの並列です。 ラダー網でのコンポーネントの並列接続は これらを使い表現します。
Rの値とCの値を入力します。


改定来歴:
 2020.Jan.18

END