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これ(左欄)は 日立評論 別冊第3号電子管及び電子管応用特集号 受信用真空管の寿命に就いて からの抜粋です。 以下 ここ(右欄)の補足説明は本Webpage作成者によるものです。 傍熱管ではタングステンフィラメントを折り曲げたりコイル状にしアルミナ(A1202)の耐熱性絶縁物でコートしたヒータをニッケルのパイプ内部に挿入しパイプ外周に炭酸塩の混合物 炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCOS)、(時として更に炭酸カルシウム(CaCO3))を混ぜたものを噴霧吹付け、これを組み立て排気(真空引き)操作中にヒータに通電し高熱分解することで電子放出のある傍熱管陰極となります。 この熱分解で BaCO3→BaO+CO2 となって BaO が残り CO2は排気されますが残ったBaOだけでは まだ充分なエミッションを得る状態ではなく、更にカソードを加熱することで 2BaO← →2Ba+O2 の反応によってBaが多くなります。 このように遊離Baの存在量を増加させる処理は 陰極の活性化 と呼ばれ真空管製造における品質要素の一つです。 Ba酸化物 Ba酸化物は仕事関数が小さい(小さなエネルギで電子放出が可)のでブラウン管、蛍光ランプの熱陰極材としても使用されこれらにおいても上述と同様にBaOを還元して遊離Baを生成させる活性化が行われてます。 ブラウン管ではNiスリーブの表面に(Ba・Sr・Ca)Oを塗布した酸化物表面被覆陰極として使用され、また、蛍光ランプでは動作温度が高いためBaの蒸発をおさえる目的でZrO2を添加したものをタングステンコイルに塗布されています。 Ba複合酸化物 BaOと他の耐熱酸化物との複合酸化物は使用温度を高くでき放出電流も大きくなります。 5BaO・2Al2O3、5BaO・2Al2O3・3CaOなどがあり、マグネトロン、クライストロン、進行波管などのマイクロ波真空管で含浸型として使用されています。更に高温でのBa蒸発抑制のためBa系酸化物のタングステン酸塩やこれにY2O3などを添加したものが高圧水銀ランプや高圧ナトリウムランプでは使用されています。 |
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