●多巻ループアンテナの巻形態による特性比較 最新改定 2015.Oct.24 JH3FJA
中短波の受信用多巻ループアンテナにおける2つの巻線形態 「ソレノイド巻き」 と 「スパイラル巻き」の特性を比較しようとしたものです。
<2種類の巻き方>
左がスパイラル巻き、アンティークラジオの外置きアンテナによくある形で意匠的なラジオ感満載の2D渦巻きです。 右がソレノイド巻き、巻き枠の構造が溝の要るスパイラル巻きに比べ簡単なので自作記事によく登場します。両者ともにこれを多層に巻いたものもありますが、今回は単純に両者とも単層(1層)のものを対象とします。
<共通条件と着眼パラメータ>
(1) 巻きは等辺矩形とし(最大)一辺寸法を760mm(製作途中の枠材があったので)
(2) 巻き抵抗(DC)を合わせるため巻き線総長を同じにに採る(約30m)
(3) 直列に共振コンデンサを抱いた共振コイル と 1ターン出力コイルによる2巻線構成
(A) 周波数対インピーダンス特性
(B) 共振点での指向特性
■ スパイラル巻き
共振コイルは一番内側一辺が600mm、外側一辺が760mm、巻数11回、出力コイル巻数は1回です。
<周波数対インピーダンス特性>
こんな感じ、綺麗な並列共振特性
<指向特性>
共振コンデンサにて共振周波数 2MHzとしたときのものです。ゲインは−36dBi、もうちょっと稼げると思うのですが・・・。
■ ソレノイド巻き
共振コイルは巻数 8回、出力コイルは巻数1回、ともに一辺が760mmの正方形
<周波数対インピーダンス特性>
こんな感じです。水晶振動子の等価回路でおなじみの直列LCRにパラ成分の容量って感じです(どの周波数でもこのスタイルです)。
<共振周波数での指向特性>
共振コンデンサにて共振周波数 2MHzとしたときのものです。ゲインは−23dBi。
<Q値>
共振点近傍の抵抗成分よりQ値を求めてみた結果、スパイラル巻きが300強、ソレノイド巻きが400程度です。これは飽くまで共振点近傍周波数でも完璧な整合が獲れた前提でのものです。
END