短縮ダイポールのローディングコイル巻き方向(2)       最新改定 2020.Jan.07 JH3FJA

 FaceBookのアンテナのグループで センタローディングダイポールアンテナのローディングコイルの巻方向につき 2つの輻射エレメントの各コイルを相互に異なる方向に巻いたらどうなるだろう との疑問の提起がありました。 2つのコイル間の符合付結合係数に応じた相互インダクタンス分の各コイルインダクタンスへの増減は容易に想像されますが アンテナとしての比較として 「コイル部だけのヘリカルアンテナとして」 また 「同じ輻射ワイヤを抱いた短縮ダイポールアンテナとして」 諸特性をシミュレーションで見て診たものです。
 ここ(2)では2つのローディングコイルの長手軸を平行配置したケースを扱っています。

コイル部ワイヤモデル

 3種の素材コイルをワイヤモデルで作り、これらを組合せ比較対象とする「同方向巻平行配置コイル」(AとB1の組合せ) と 「反対方向巻平行配置コイル」(AとB2の組合せ) とします。 条件としての2コイル間の結合具合はコイル長手軸の離隔距離で与えます。

< 3種の素材コイル >

 共通条件 : 巻直径 117mm(曲線近似 内接正8角形)、巻長さ 90mm、巻数 12回、巻線径 Φ3mm
A. 右側用時計方向巻コイルB1. 左側用時計方向巻コイル B2. 左側用反時計方向巻コイル
 巻方向はコイルの天方向から地方向に重力でビー玉を転がした時の軌跡のカーブの仕方です。

ヘリカルアンテナとして見た比較

 素材コイルAとB1、素材コイルAとB2 の平行配置に給電点を付けた給電付ローディングコイルは それぞれノーマルモードヘリカルダイポールアンテナ と見なせるので アンテナとしての共振固有値、周波数対インピーダンス特性、周波数対ゲイン特性、輻射特性としての指向性(共振固有値でのもの) を見てみます。

< 平行および給電形態 >

 平行離隔距離 : 各コイル軸間 130mm (=巻線外表面間 10mm)
同方向巻平行配置反方向巻平行配置

< 同方向巻コイル平行配置 >
同方向巻配置 周波数対インピーダンス特性同方向巻配置 周波数対ゲイン特性

同方向巻配置 垂直面指向性同方向巻配置 水平面指向性

< 反対方向巻コイル平行配置 >
反対方向巻配置 周波数対インピーダンス特性反対方向巻配置 周波数対ゲイン特性

反対方向巻配置 垂直面指向性反対方向巻配置 水平面指向性


短縮ダイポールで見た比較

 給電点付ローディングコイルの上下に直線状の輻射エレメントを付加した短縮ダイポールアンテナとして 共振固有値、周波数対インピーダンス特性、周波数対ゲイン特性、輻射特性としての指向性(共振固有値でのもの) を見てみます。

< アンテナ形態 >

 輻射エレメント : 引上げ部長さ 60mm、水平部長さ(片ウイング) 3.935m
同方向巻配置同方向巻配置 周波数対ゲイン特性

< 計算結果(主パラメータ) >

同方向巻配置反対方向巻配置

< 同方向巻配置の短縮ダイポール >

同方向巻配置 周波数対インピーダンス特性同方向巻配置 周波数対ゲイン特性

同方向巻配置 垂直面指向性同方向巻配置 水平面指向性

< 反対方向巻配置の短縮ダイポール >
反対方向巻配置 周波数対インピーダンス特性反対方向巻配置 周波数対ゲイン特性

反対方向巻配置 垂直面指向性反対方向巻配置 水平面指向性


改定来歴:
 2020.Jan.07 初版

END