ブリッジコイルによる可変ローディングコイル       最新改定 2020.Jan.13 JH3FJA

 センタローディングダイポールアンテナのローディングコイルのインダクタンスを変化させることで 短縮ダイポールアンテナの共振周波数の可変が可能ですが、タップ切り換え・摺動機構・コイル伸縮機構等どれも実際の可変機構(メカ)はなかなか大変です。
 センタローディングコイルのインダクタンスは ダイポールの各ウイングで見た2つのコイルの各自己インダクタンスと 両コイル間の隣接結合による相互インダクタンスでなり立っていますから 相互インダクタンス分の変化を与えればアンテナの共振周波数の変化が可能な筈です。
 ここではこの相互インダクタンス分の変化を2つのローディングコイルをブリッジする3つ目のコイルを設け それを閉ループ/開ループと切り換えることで故意に相互インダクタンス分を変化させる方法の可能性を検討しています。

対象ローディングコイルの仕様

 2つの同じ方向に巻いたコイルを給電点を挟み直列に接続した形態の本体コイルの外周にブリッジループコイルを巻いたものです(左図)。 ブリッジループコイル単体は右図のスタイルで この両端の短絡で閉ループ状態を 両端の開放で開ループ状態を作ります。

ローディングコイル本体ブリッジループ部
 巻直径 300mm( 内接8角形で曲線近似 )
 巻長さ 200mm、巻数 12回
 巻直径 308mm( 内接8角形で曲線近似 )
 巻長さ 200mm、巻数 4回


シミュレーション結果

  < 主要なパラメータ >

 次の通りです。 Frequency は共振固有周波数、Impedance は共振固有周波数での給電点インピーダンス、Current hは給電点でのRF電流です。

ブリッジループ「開」ブリッジループ「閉」
 ゲイン 5.67dBi ゲイン 4.94dBi

< ローディングコイル近傍磁界 >

 コイルの巻き直径中心軸を通る断面でみた磁界強度分布です。

ループ開 近傍界Hフィールドループ開 近傍界Hフィールド

< 指向性ゲイン比較 >

 垂直および水平面指向性ゲインです。 ループ開・閉でのものを重ね表示しており 青線:ループ開、 赤線:ループ閉 です。

垂直面指向性(開・・・青、閉・・・赤)水平面指向性(開・・・青、閉・・・赤)

< 周波数対インピーダンス特性 >

ループ開 周波数対インピーダンス特性ループ閉 周波数対インピーダンス特性


以上のシミュレーションにおいて作成したアンテナシミュレータ 4NEC2 のモデルファイルを掲げます。 ファイル名を右クリックしダウンロードしてください。 .NEC属性のファイルはテキストファイル形式です。

モデルファイルファイル名
 ブリッジループ「開」状態  80mdp_openloop.nec 
 ブリッジループ「閉」状態  80mdp_closeloop.nec 


改定来歴:
 2020.Jan.13

END