●PRC-10(A)追加マーカ発振回路
PRC-10(A)でのQSOは、相手局がこの種の機械をある程度理解戴いているケース以外は非常に苦労をします。QRVしている局自身が少ない(この地)ローカルで、SSBで局を捕まえ(失礼)、ナローFMでの交信を成立させ、PRC-10(A)での交信をお願いし、結果その評価は大体において、変な音です、チューニング出来ません、周波数が変動してます、の類です。 FMの周波数偏移自身を概念的にお空で説明するのも大変なことです。
そこで、ナローFMアマチュア機によるQSOからPRC-10(A)に切り替えるタイミングにおいて、可能な限り同じ周波数にPRC-10(A)をセットし(ゼロイン)、相手局の苦労の低減とこの手の機械に理解を戴くことの促進に、マーカ発振回路の追加を行うものです。
もちろん、PRC-10(A)の最初からあるマーカ周波数点においてQRVするだけならこのような物は必要ありません。
<回路図>
左図の通りです。どこにでもあるFET1石の水晶発振回路です。2SK19A、2SK30Aなどの接合型の電界効果トランジスタを用いることで電源電圧0.9V程度まで落ちても発振機能を維持する事できます。
水晶発振子はマーカを置きたい運用周波数の1/N(Nは整数)の周波数のものを使います。当局の場合は、マーカを置きたい周波数が51.2MHz、ジャンク箱から1/4にあたる12.8MHzの水晶発振子を選出してます。
IFT(ドレン負荷の共振回路)は、その1次側で適当に水晶発振子の周波数に並列共振するものであればOKです。
高周波チョークは100uHもあればOKですが、代替としての抵抗によるデカップリングは電圧降下分だけ動作電源電圧余裕が減少しますので不利だと思います。
<部品表>
記号 |
部品名 |
仕様 |
数量 |
備考 |
Q1 |
FET |
2SK30Aまたは2SK19A |
1 |
足接続参考資料(規格表) |
T1 |
IFT |
FCZ9/7mm角 |
1 |
水晶基本波に合わせ任意 |
X1 |
水晶発振子 |
12.8MHz |
1 |
マーカ周波数に合わせ任意 |
L1 |
高周波チョーク |
220uH |
1 |
|
R1 |
小型抵抗 |
100Kohm |
1 |
|
C1 |
コンデンサ |
33PF、チタコン |
1 |
|
C2 |
コンデンサ |
2PF、チタコン |
1 |
被覆電線撚り合せでも可 |
C3、C4 |
コンデンサ |
0.01uF、チタコン |
2 |
|
|
基板 |
|
1 |
適当に |
<基板の姿>
基板材料はDIPのICの拡大基板 サンハヤトのICB91(DIPの足を拡大する基板)を半分に切ったものです。
左から1.5V電源、右へRF出力、厚みを最小にするため一番厚い7mm角IFTを基板から飛び出させてあります。
完成外形は、矩形シルエットで 45mm×35mm×7mm厚さ、これをPRC-10(A)のIFサブシャシーと本体フレームの隙間に実装します。
<PRC-10に内装する>
突如項目タイトルから(A)の添え字が消えましたが、未だPRC-10Aには実装したことが無いからで、各局で実験戴ければありがたいです。
基板外部接続の回路です。 電源スイッチS1の当該端子 は一番寄り付き易い位置にあります。CALの入り切りをしながらテスターでA電圧が断続する事で確認します。
マーカのRF出力は、細い同軸か良質のシールド線を用いて2ND_RFアンプのH端子に芯線を接続します。 シールド側はその一番近傍のグランドに接続します。
基板までの引き回しはバリコンの後を迂回 させています。
基板からの配線を付けた後、絶縁物のシートで包みます。 写真の白いシートは、軍用電池 BB-490/U シールバッテリー の内部から収穫できるテフロンシートの様な少し硬くて表面が滑りの良いものです。 別に絶縁物なら何でも良いですが一応はグリッドを引き出して来ている意識だけは持って材料を選びます。
包んだ基板をIFシャーシ横のスペースに挿入します。 10mm角IFTではこの段階に苦労が生じます。 このスペース以外にも実装可能な場所はありますが、色々やってみて一番安直に使える空間としてここを選出しています。
なお、マーカ出力の灰色の同軸は、写真撮影用によく見える様にリフトしてあります。
<完成音と補記>
PRC-10の受信周波数51.2Mcに こんな感じのマーカ音 が現れます。
本マーカのビート音の強度は出力の結合で調整できます。 基板側に置く固定コンデンサではなく、2ND_RFアンプ の近所に出力線が位置しておればそれだけでも本マーカのビート音を聞く事が出来ます。 上述したグリッドの基板までのシャーシ内引き回しに懸念を持たれる場合は、この方法か2ND_RFアンプ 近傍に結合コンデンサを移すなどしてください。 当局の計測環境ではここに紹介した付加方法で前後比較しましたが特性変化はまったく生じていません。