● BA-5598/U リチウムバッテリーの活用
BA-5598/Uリチウムバッテリーは、余剰品の軍用バッテリーの中でも使い勝手の良い1次電池です。
電池はレーションなどと同じく製造日付からの経過日数だけで余剰品判断がされますが、酸化リチウム電池は優れた自己放電特性のため、非常に良好な状態のままで余剰品として放出されていることになります。内部の部品は利用価値あるものが多く、分解して楽しい電池でもあります。
<BA-5598/U姿>
外装はOD色の成型樹脂で出来ており、PRC-25、-77等の電源プラグに勘合する出力コネクタが1つ設けられています。5ピンの出力コネクタの内3ピンが内部接続されており、14.4V出力、3V出力、コモンが出力されます。
外形寸法は、120(最大)×90(最大)×52mmであり、PRC-25、-77等の電池箱に2個(実使用と予備用)がピッタリと収まる形状になっています。 なお、重量は 612グラムです。
なお、電流容量については明確ではありませんが、JA3FTU局による計測例では、7Ah(5時間率)以上と推定されています。
<BA-5598/U内部構造>
成型樹脂によるケースの胴と蓋は全周で接着されていますが、電工ナイフや大型カッターナイフで こじ開ける事が出来ます。(怪我しない様に注意して作業してください)
内部には、直列に接続された5個の円筒形3Vリチウム電池セル(OD=38.3mm、L=47mm)、温度スイッチ(セルに抱かす様に)、プリント基板(緑のガラエポ)、出力コネクタ(白色)からなります。
<BA-5598/U内部回路>
BA5598/Uは一般的に思う電池のイメージとは異なり、かなりの内部部品があります。
プリント基板上には、「電流保護ヒューズ2本」、複数個のBA5598/Uの並列使用を想定したと思われる「シリーズダイオード」、使用済み廃棄時短絡での火災等防止の「放電用の抵抗(150Ω)と放電スイッチ(2ビット並列のディップスイッチ)」、基板と内部回路を接続するしっかりした「6Pコネクタ」が実装されています。
<3Vセルを取り出す>
PRC-25などでの使用終了後もセルだけ取り出し小容量負荷用途の電池を作り最後まで使い切ることが出来ます。内部の3Vセル5本はケース内側の仕切り内に押し込んであり、セルのポッティング時に漏れた青色のシリコンゴムで軽く接着されているだけなので、比較的簡単に取り出す事が出来ます。
ただし、それぞれのセルの金属外筒は透明の熱収縮チューブで絶縁されてはいますが、マイナス電極であるので注意が必要です。更に金属外筒の底端面(写真では天の方向)は絶縁が無く露出しているので要注意です。
<転活用例>
FSE-38/58用の6V電源として、2個の3Vセルを使い作ったものです。FSE-38/58は、50m
Wの無線機であり、使用済みセルを使った電池でも十分な稼動時間を楽しむことが出来ます。