●カーボンマイクテスタの製作(工事中)              (最新改定 2005-May-04)

  カーボンマイクエレメントを内装したハンドセットやカーボンマイクの主として感度を試験できるツールです。 本、カーボンマイクテスタは、マイクロフォン(以下マイク)への入力である試験音源、カーボンマイクへバイアス電流を与えるループ電圧源、試験音源により得られるマイク出力の電流変化を電圧変換する変換・増幅からなります。 一定音源音圧下でのマイクの交流的な電気出力を計測することで、感度特性を半定量的に計測するものです。

<構成> 音源部の回路図

  音源信号(Ssig)は、外部の低周波発振器や PC版信号発生器 より入力します。 これを図の一番左のカプラ内部のスピーカで吹鳴し、供試カーボンマイクに入力するテスト音とします。

  カプラ内部の音圧レベルはカプラ内に設けたモニタマイク(コンデンサマイクロフォンエレメント)で検出、電圧増幅しメータ部にある整流回路を経て設定位置をマークした目盛板を持つメータM1を振らせます。
  供試カーボンマイクへの電流バイアスはループ電源の電圧でセットします。 この電圧、ループ電流、供試マイクの両端電圧はメータ切換えで読むことが出来ます。 炭素のカーボンマイクでは電流は成り行きのまま知る必要もありませんが、半導体使用の代替カーボンマイクエレメントでは、内部のトランジスタの破損に結びつくので電圧ともども電流をモニタしておく必要があります。 なお、ループ電源は同理由から電流リミッタが掛けてあり**mA程度で飽和します。
  供試マイクへの音圧の印加により得られる電流変化としての信号は、変換トランスで600オーム系の電圧信号に変換し、これを外部のオーディオ電圧計で読みマイク感度の指標として得ます。
  印刷用ブロック図

<音源部> 音源部の回路図

  外部のAF発振器からの電圧を600オームの抵抗で終端し両端電圧をパワーアンプで電力増幅しカプラ内部のスピーカを駆動します。パワーアンプはLM380で作ってあります。
  印刷用回路図
カプラ部
  「カプラ部」はジャンクの米国製音響カプラ(300bpsの博物館もの)から収穫の太鼓型をした硬質ゴム製のもので、内部に50mm直径の小型スピーカとその背後には吸音材が詰っています。
  なお、本テスタでの音源音圧は、通常の会話における口元音圧(口から30cm)が70dB程度であり、口から7.5cm離れ位置を想定し76dBを基準としています。 (音圧のdBは10Logです) ちなみに昔のカーボン送話器感度試験装置(見た事もありません)では10μbar(94dB)をカプラ部に与えていたようですが、これは片側3車線国道の信号待ち停車列に大型車混入率3割ほどで100m位の車列があり、それが青信号に変ってどっと動き始めた時のグォ〜〜と言う音をすぐ道際で聞いた程に相当し、ビックリする程の音圧レベルです。


<音源音圧モニタ部> 音源音圧モニタ部

  マイク部、マイクアンプ部と低周波増幅部から成っています。

  マイク部は、上述の音響カプラジャンクの受話用部分を改造したもので、コンデンサマイクエレメントがカプラ内部の音圧を捕らえるようカプラ断面の中央に位置しています。マイクの受音面は供試体の方を向いていますが、コンデンサマイクエレメントは背中側でも音圧を拾いますから、カプラ内部の音圧を拾っていると考えてください(事実です)。
  マイクアンプ部は、よくある1石構成で約8倍の電圧ゲインを持ちます。エミッタ抵抗による負帰還によりフラットな周波数特性を与えています。必要最小限のゲインに留め負帰還量を多くする方法です。
  電圧増幅部は手を抜きLM380パワーアンプと10オーム対600オームトランスを組み合わせ電圧増幅器を実現しています。
  印刷用回路図

<信号変換部> 信号変換部

  ループ電源・カーボンマイク・変換トランスの直列ループを作り、変換トランスで信号変換し、600オーム抵抗で終端し電圧出力とします。
  変換トランスは昭和45年製造の携帯電話機(有線です)から収穫した2次側インピーダンス600オーム、1次側直流抵抗 3.8オーム のものです。
  印刷用回路図

<メータ部> メータ回路

  メータ部は1つのメータへの入力切替とそれぞれの入力に対する整流・分圧(倍率器)を行います。交流入力に対してはショットキーバリアダイオードによるブリッジ整流と分圧抵抗を、直流入力に対しては分圧(倍率器)を行います。ループ電流に限り分流抵抗が信号変換部側にありますのでスルーになります。メータ端子には保護用ツェナーダイオードと指示フィーリング付与(フワーと振れる)のためのコンデンサが付いています。
  印刷用回路図

<電源部> 電源部

  ループ電源部はトランジスタ1石による電子抵抗器での電圧可変と、2石の電流リミッタの直列構成になっています。
 1石電子抵抗器は分圧電圧の変化でベース電流を可変しコレクタ・エミッタ電流を調整するもので、定電圧機能はありません。 リップルフィルタを兼ねており、C2の容量はあたかも Q1の電流増幅率倍のコンデンサをエミッタ位置にぶら下げたと同じに働きになります。
  電流リミッタはR3の電圧降下がQ3のベース・エミッタ電圧(約0.6V)を越えるとQ3が導通してQ2のベース電流をバイパス(横取り)するかたちとなり、Q2のコレクタ・エミッタ電流を制限するもので、リミット電流は 0.6/R3(A)辺りになります。
  印刷用回路図

なお、本製作で登場する山水STシリーズの類似トランスは秋葉原シオヤ無線で各種入手が出来ます。

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