● CPRC-26について              (最新改定 2007-Oct-13)

  CPRC-26は1950年代にカナダで開発されたポータブル送受信機で、カナダ陸軍で使用されたものです。 構成は型式がかもし出しているようPRC-6とよく似ていますが、ハンディータイプではなく担ぐなりしてハンドセットでオペレーションするものです。6ch切り替え(水晶発振)、CAN形モジュール化など6mFM用へのレストアにも楽しい機械です。

■ 外観と内部機構
CPRC-26の姿 CPRC-26パネル面
  形状的には 130×85×275mmと小さく、うち下部100mm高さ分が電池箱になっています。ハンドセットのボディーモールドはH33と同じですが、PTTの接点(マイクルスイッチ)でフィラメント群への供給を切り替えるため内部回路はH33とは異なります。   特筆は内部回路のモジュール化で、7ピンMT管ソケットにマウントするモジュールは、サブミニチュア真空管を抱いたものと、パッシブ部品のみのものから成ります。

<操作部>
  パネル面はアナログ的な調整ツマミはなく切り替えスイッチの類だけです。 右がチャンネル切り替え、6チャネル分のポジションがありますがクリックは柔らかい感じです。 中央の3ポジションのスイッチが電源スイッチ、1段右回し「QUIET」位置は、電源ON・小音量・マイク感度普通のポジション、2段右回し「LOUD」位置は、電源ON・大音量・マイク感度低減のポジションです。
CPRC-26ハンドセット
<ハンドセット>
  H33ハンドセットと主モールドはピッタリ同じですが、 PTTスイッチの接点構成・内部接続、オーディオコネクタが異なります。 受信・送信切り替えのために真空管のフィラメント群への電流供給を直接PTTスイッチで切り替えるためにSPDT(C接点)になっており、接点メカもマイクロスイッチが使われています。オーディオコネクタは平らな形状で、ゴムモールドで出来ており着脱に掴み易いものですから、内部で断線が起きるようで写真のものもフィラメント切り替え回路が断線しています。


■ 構成

<内部ブロック>
CPRC-26内部ブロック図   左のブロック図はクリックすると大判が見られます。
  送信系は、V1パワーアンプ(3B4)とV2マスタオシレータ(3B4)およびモジュレータV3(1AD4)からなり、AFC電圧は、V1パワーアンプ出力の一部がRFアンプV7(1AD4)の電極間容量を経てミキサV8(1AD4)に導かれ、局発クリスタルオシレータV4(1AD4)出力にとミックスダウンされ、ミキサ出力に中間周波数(4.3MHz)として出力します。 これをV6AFCアンプ(5678)により増幅、AFCディスクリにより制御電圧として得、モジュレータV3に加え制御します。
 局発クリスタルオシレータV4(1AD4)とミキサV8は送受信にかかわらず動作しています。

  受信系は、高周波増幅1段、中間周波増幅4段から成るシングルスーパです。 受信信号は、アンテナから送信系出力タンク回路を経てRFアンプV7(1AD4)で増幅されミキサV8で4.3MHz中間周波数に変換され、4段のIFアンプV9(5678)で増幅、リミッタV10(5678)を経てAFディスクリでFM検波され、AFアンプV6(5672)でパワー増幅し、レシーバを鳴らします。 AFアンプV6は送受信にかかわらず動作しており、送信時はAFCディスクリの出力を利用し側音を鳴らします。

<回路>
CPRC-26回路図
  クリックすると大判が表示されますが、上のブロック図の配置に対応した回路配置になっており、マニアの方は左の縮小版でも感じは分かると思います。
  左上の2本がMT管、その他はモジュールCAN内に内装されたサブミニチュア管です。
<モジュール化>
内部モジュールとその配置
  18個(6行×3列)のMT管ソケットに矩形状および円筒状のCAN型モジュールを差込むことで構成されます。 真空管を内装したモジュールが7種10本、パッシブ回路のモジュールが5本あります。 ミキサとIFアンプは円筒状、矩形状の両方のものがあるようですが何が異なるなるのかは不詳です。変ったところでは乾燥剤を内部に入れたデシケータモジュールがありテスト信号用のソケット位置に刺さっていますが、内装乾燥剤の量が僅かなため、本当に効果があるのかは疑問です。 MOの3B4は姿が見えませんがRFコイルのCANと一体となった矩形CAN(底なし)が被っているためです。下の3枚写真の一番左を見てもらうとMOの3B4も見えています。


<内部機構>
CPRC-26内部機構1 CPRC-26内部機構2
  写真左:モジュール化設計はまるで「レゴ」の世界です。 個々の特性ズレさえなければ楽しくチェンジニアリングが効きますが、製造から54年の歳月の経過はそれなりにメスを入れる必要があります。
  写真右:下部の6ch切り替えのための3群の同調コンデンサ・水晶発振子の切り替え部の外し方を示しています。前パネルを外すことなくこの部分を分離できます。

CPRC-26内部機構3 CPRC-26内部機構1
  写真左:3群の同調回路・水晶発振子切り替え部の中身です。 左から、アンテナ共振回路キャパシタ群、メインオシレータ共振回路キャパシタ群、受信RFアンプ出力共振回路キャパシタ群、その右が6ch分の水晶ソケットです。
  写真右:同調回路・水晶発振子切り替え部の裏側およびメインシャーシの裏側です。 同調回路は、各々2接触子、2接触子、4接触子によりメインシャーシ裏で本回路に繋がります。


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