かご型フォールデッドモノポールアンテナ(その3)       最新改定 2023.Aug.15 JH3FJA

 ここでは かご型フォールデッドモノポールアンテナ(その1) でのいくつかの知見をもとに 飲料用アルミニウム缶に中心導体を付加しフォールデッドモノポールスタイルとしたUHFバンドのアンテナをシミュレーションし特性を眺めています。

缶素材形状寸法 フォールデッドモノポールモデル シミュレーション結果
外部導体にスリットを入れる 外部導体を長手割半分だけに


缶素材形状寸法

 飲料用アルミニウム缶の種類は素管径2種類からの切り出しで色々とあるようですが、ここでは1本の缶でも長さを稼げる500ml缶の形状寸法を使います(表の一番下)。
エレメント材料
 
500ml缶モデル
 手軽なモーメント法のアンテナ解析ツールでは立体表面形状をワイヤグリッドでモデル化しますが、連続面を(それなりに)模擬するにはメッシュを構成する個々のワイヤ長さの最大を最低でも波長の 20分の1以下、ピュアな連続面モデルとの一致を強く望むなら 50分の1以下をキープする必要があります。
 ここでは方式が持つ目安的な特性が得られたら良いのでワイヤ長は 波長の20分の1以下狙い としています。

 周方向分割数 : 8
 長手方向分割数 : 8
 総ワイヤ数 : 183本

 モデルファイル alcan_500_8.nec 右クリックでDL

フォールデッドモノポールモデル(基本形)

フォールデッドモノポール
 左図がモデルです。 中心導体は外部導体の天端から地板まで折り返しパスを形成します。右下外部導体裾と地板を結ぶワイヤが給電部で赤丸が給電点、青四角が整合用(リアクタンス補償)の直列コンデンサです。また中心導体の上の方にある青い四角は全体の共振固有値を変えるローディングインダクタです。
 中心導体 : Φ3mm金属ロッド
 外部導体 : 500mlアルミ缶、Φ66mm×L166.7mm(上述の通り)
 外部導体下端位置 : 地板より 30mm 上
 ローディングインダクタ : 0.103uH
 整合コンデンサ : 15.85pF

 モデルファイル fd_mp_500.nec 右クリックでDL

シミュレーション結果

 以下の通りです。 なお大地(地板)はパーフェクトグランド条件
インピーダンス特性SWR特性
Za=49.99-j0.02 @435MHzSWR=1.00 @435MHz

ゲイン特性定在波電流振幅分布
maxGa=6.28dBi @435MHz分布イメージは赤線
指向性(水平プレーン)指向性(垂直プレーン)
最大ゲイン方向 176deg、6.28dBi @435MHz最大ゲイン仰角 0deg、6.28dBi @435MHz


外部導体にスリットを入れる

外部導体にスリットを入れる
 中心導体やローディングインダクタ部に寄り着き易いように外部導体にスリット(長い長方形穴)を入れたケースで、他部分は基本形と同じです。
 外部導体のスリット : 長手146mm×幅25.4mm を1つ
 ローディングインダクタ : 0.103uH 基本形と同じ値
 整合コンデンサ : 15.85pF 基本形と同じ値

 シミュレーションでの大地(地板)はパーフェクトグランド条件

 モデルファイル fd_mp_500_s1.nec 右クリックでDL

 以下に代表特性を掲げます。 グリッドモデルでみて かご状を形成する長手を貫くワイヤの形態には変化はなく 特性への影響は微細に留まっています。ゲイン最大の水平方向がスリットの影響で−3degほどズレ 176deg位置になっています。

インピーダンス特性SWR特性
Za=50.02-j0.001 @435MHzSWR=1.00 @435MHz

ゲイン特性
maxGa=6.28dBi @435MHz


外部導体を長手割半分だけに

外部導体を長手半分だけに
 外部導体を長手割半分だけにした形状で、長手直交断面で観た外部導体は閉じた円から開いた半円になります。
 外部導体 : 500mlアルミ缶 Φ66mm×L166.7mmの縦割り半分を適用
 ローディングインダクタ : 0.146uH
 整合コンデンサ : 112.9pF

 シミュレーションでの大地(地板)はパーフェクトグランド条件

  モデルファイル fd_mp_500_c4b.nec 右クリックでDL

 以下に代表特性を掲げます。  グリッドモデルでみて かご状を形成する長手を貫くワイヤ数が8本から5本に減じ特性変化しています。顕著な変化はSWRの低い周波数幅が狭まることです。

インピーダンス特性SWR特性
Za=49.68-j1.45 @435MHzSWR=1.03 @435MHz

ゲイン特性
maxGa=6.13dBi @435MHz
指向性(水平プレーン)指向性(垂直プレーン)
最大ゲイン方向 172deg、6.13dBi @435MHz最大ゲイン仰角 0deg、6.13dBi @435MHz


END