防砂壁への仮設想定ビバレージアンテナのシミュレーション(その2)

最新改定 2017.Feb.1 JH3FJA

防砂壁への仮設想定ビバレージアンテナのシミュレーション(その1) より、海水による反射はビバレージアンテナにとっては非常に辛い要素であることがよく分かりましたので、その影響から逃れたアンテナを考えたものです。

 海際や海水上でも楽しめる広帯域受信アンテナへ向けた想いとして以下を方針にいろいろやってみた。
・ 形式として進行波型アンテナは諦めない
・ ゲインはあきらめアンテナ長を短くし反射影響を少なくする
・ 指向性付与の手段として多エレメント化のお世話になる
・ ついでに指向性を簡単に切り替えられたらうれしい

<2エレ微小ビバレージアンテナ>

 たどり着いたのがこの辺り、
 基本の1ループは横長四角形で横長辺はビバレージ氏発明のビバレージアンテナの1波長やそれ以上の長さに比べ極端に短くとり(シミュレーションのものは7.5m)、ゲインと反射による指向性(散乱)の様子から妥協することになります。縦短辺の下端に給電点、同他短辺の下端に終端抵抗を位置させます。この下端寄せは少しでも垂直系要素に助けてもらう意味がありそうですが実はそんなには影響せず、むしろ指向性方向を入れ替える際に 給電部・終端部への寄りつき易さが効能です。
 多エレメント化は基本の1ループの長辺を天空からみて一直線に並べる様に複数ループを配置します。 各ループの給電位相と振幅操作で指向特性を作る意図ですが 広帯域なフェーズシフタは複雑なものになるので ここでは現実的な条件として 振幅は等しくとり 2エレを180度反転位相あるいは同相で加算合成するものとし、2ループ間の距離離隔だけを調整し指向特性の形成を図ったものです。

2エレ微小ビバレージアンテナ設置イメージ 図 単位は m(メータ)
楕円丸が給電・終端位置


写真 赤丸が給電点、ここに4:1変成器
800:50オーム変換

青色丸が抵抗終端点
800オーム抵抗

シミュレーションしてみた

 地面2種類(海水、平均的土壌)、給電合成2種類(反対位相合成、同相合成)として以下4種をシミュレーションしてみました。
 下図の緑の芝生が地面相当面、赤色円筒が給電点で反対位相合成では左のループの給電点位相を180度反転したものを右ループと加算合成、また、同相合成は2つをそのまま加算合成します。

 下辺高さ=地面上0.5m / 上辺高さ=地面上3m / 長辺長さ=7.5m
 給電位置・終端抵抗位置=地上0.52m / 2ループ間水平離隔距離=20m
2エレ微小ビバレージアンテナモデル
1.海水/反対位相合成結果
2.海水/同相合成結果
3.平均的な土壌/反対位相合成結果
4.平均的な土壌/同相合成結果

 眺めているのは、垂直面指向特性、水平面指向特性、周波数対ゲイン特性、同SWR特性、同インピーダンス特性です。
 なお、単一ループ微小ビバレージアンテナの特性については、(その2 補足) に掲げています。

<1.海水層/反対位相合成>

 こんな感じです。
垂直面指向性 水平面指向性
周波数対ゲイン特性 周波数対SWR特性
周波数対インピーダンス特性

<2.海水層/同相合成>

 こんな感じです。
垂直面指向性 水平面指向性
周波数対ゲイン特性 周波数対SWR特性
周波数対インピーダンス特性

<3.平均的土壌/反対位相合成>

 こんな感じです。
垂直面指向性 水平面指向性
周波数対ゲイン特性 周波数対SWR特性
周波数対インピーダンス特性

<4.平均的土壌/同相合成>

 こんな感じです。
垂直面指向性 水平面指向性
周波数対ゲイン特性 周波数対SWR特性
周波数対インピーダンス特性


END